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オペレーティングリースの仕組みとメリットを解説
法人の節税で人気となりつつあるのか「オペレーティングリース」というスキーム。
ですが、あまり情報が出回っていないことも多く、行動に移すのがなかなか出来ない方も多いかもしれません。
実際に、「オペレーティングリース」の節税では、リース先の会社・リース元の会社・匿名組合・出資者など、様々な会社が関わっています。
なので、単純ではないお金の流れが発生するため、一目見ただけではわかりにくくなっています。
一見すると複雑であまり魅力的に見えないかもしれませんが、実は非常にメリットが大きく、節税にも効果的なので人気が出ているのです。
こちらでは、オペレーティングリースの基本的な説明と仕組みから、メリットや具体的な人気の物件例をご紹介していきます。
オペレーティングリースの定義と会計処理の特徴
まず、オペレーティングリースを簡単に表すと、ファイナンスリース以外のリースの総称を指します。
これは、契約前に物件のリース期間満了時の残存価額(残価)を第三者のリース会社が査定します。
そして、その物件の元本部分から残価を差し引いて、借手が実際に支払うリース料を算出するリース取引のことをオペレーティングリースといいます。
また期間については、事前にリース期間が定まっているファイナンスリースと異なり、両社間で自由な期間設定が可能となっています。
オペレーティングリース取引とは
基本的に、オペレーティングリース取引とは、あくまで「レンタルとして借りているだけ」の取引になります。
なので、借手はリース期間に応じたリース料を支払い、期間が終わると相手にリース資産を返却することになります。
契約の段階で、リース期間満了時の物件の扱い(再リースなのか買取)や会計処理、解約に関しても不備が無いように注記の細かい部分まで確認しておくことが大切です。
基本的に賃貸借取引
実際に所有しているわけではないので、会計上で資産として計上する必要がなく、あくまでレンタルとしての賃貸借取引で計上することが出来ます。
オペレーティングリースは請求書の通りに仕分けするだけなので、複雑になりがちな会計処理が非常にシンプルで済みます。
オペレーティングリースのメリット
オペレーティングリースには節税対策でよく利用される金融商品よりも、優れたメリットが存在しますので、簡単にご紹介します。
とにかく節税効果が高い
オペレーティングリースは、一般的な節税方法の中でも節税効果が非常に高いと有名
です。
実際、物件をリースする際に一括で資金を投入しますが、その時に投入した物件の金額の約80%を1年目に特別損失として損金算入できることがあります。
それだけでなく、その年以降の2年目でも残りの20%を損金算入できるのです。
他にあるような節税効果を持つ金融商品で、会計上これほど大きな損金を一度にできる商品は他にありません。
これがオペレーティングリースの最も大きいメリットの一つなのです。
特に、急遽発生する利益対策や利益剰余金による自社株価の上昇を意図的に抑える対策としても、オペレーティングリース投資による損金算入は非常に魅力的でしょう。
一般的に他の保険などの金融商品や不動産による減価償却だと、一括して支払った金額の20~50%程度しか損金にはならない場合が多いので、オペレーティングリースにしかない強みと言えるでしょう。
資金投入は一度のみ
節税対策で人気の金融商品、生命保険などの場合は、毎年掛け金を一定額支払う必要があります。
一方で、オペレーティングリースなら最初の資金投入のみ。なので次年度以降に資金を投入する必要がなく、キャッシュを気にすることなく経営を行えます。
毎年掛け金の様な支払いがあると、常にキャッシュを用意しておかなければなりませんが、オペレーティングリースに関してはそういった不安を持つことなく節税対策が実施できます。
人気の物件一覧(航空機・船舶・コンテナ)
主にオペレーティングリースで人気の対象物件は、航空機・船舶・コンテナの3つのリースがあります。
航空機のオペレーティングリース
オペレーティングリースの中で最もおすすめな物件が、「航空機」のリースです。
中古市場での価値が高いため、リース期間後の売却で増益となることが多いのが特徴。
また、投資の際に参考とする需要に関しては「世界人口」の増減が指数となっており、今後も人口が増えることが予想されるため需要も安泰です。
出資額としては1物件あたり3,000万円〜数億円となっていることが多く、ある程度まとまった資金があれば可能となっています。
航空機リースの期間は平均で7~10年前後とやや長めのリース期間となることが多くなっています。
リース期間後に、リース先の航空会社が買取をすることも多いため、取引前にしっかりと契約書と物件の扱いについて確認しておくことをおすすめします。
コンテナのオペレーティングリース
コンテナのオペレーティングリースの特徴は、他と比較して出資額の安さと価格の急落リスクの少なさ、そしてリース期間の短さとなります。
コンテナの需要は「GDP成長率」や「交易係数」で産出しており、航空機よりも需要の見通しを立てづらいのもポイントです。
コンテナの需要を長期的に見ると増えているのですが、短期的に見ると需要の増減があるので、リース期間満了時を正確に予測することが難しくなっています。
とはいえ、航空機や船舶と異なり出資額が1物件あたり1,000万円〜数千万円から可能なことと、リース期間も3~7年程度と比較的投資しやすいのがコンテナのオペレーティングリース。
船舶のオペレーティングリース
船舶のリースのポイントは、中古市場で販売価格の変動がとても激しい点。(ボラティリティが高い点)
需要を決めるのは「バルチック海運指数」を基にしますが、2008年に過去最高の指数を出して以降はやや下降気味となっています。
数値の変動が激しいことに伴って将来の見通しを立てることが非常に難しく、需要が高まっていれば想定よりも大幅な利益を獲得できる一方で、逆の大きな損失も可能性があります。
船舶に関しては、リース期間満了時にそのまま借手の海運会社が買取をする前提の契約をしていないとオペレーティングリースとしてのメリットが少ないので注意が必要です。
まとめ
オペレーティングリースは非常に大きな節税効果が期待できます。
それは、節税対策でよく行われる保険や不動産といった金融商品を上回るほどであり、それ以外でもキャッシュの管理や貸手だけでなく借手側の仕訳に関する会計処理の負担の少なさから、利用数が増えています。
計画的に、長期的な節税対策を狙うのであればオペレーティングリースを検討されることをおすすめいたします。
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